【 第14章 









―― 殿下の様子がおかしい ――



 飯田が見たところの、最近の彼への感想だった。

確かに仕事に支障はないし、話しかけてもいつもと変わらない様子を見せている。

しかし今取り組んでいる、アマオケの「フジミ」で指揮をしている時の彼は、どこか上の空で本当に真剣にオーケストラの指揮をする気があるのか?と言いたくなる気抜け状態だ。

今はまだ飯田くらいしか気がつかないだろうが、このままではいずれ他の団員の誰もが気がつくようになるだろう。

「ねえ飯田さん、ちょっといいかしら?」

練習後に、秘書の川島嬢が声を掛けてきた。彼女もこのオーケストラに参加していて、フルートを担当している。

「おっ!なんだい、デートのお誘いでもしてくれるのかな?」

「もうっ!冗談はやめてくださいな。飯田さんが愛妻家だというのは、よーく知っていますから。それより、船長のことなんですけど・・・。なんだかおかしくありません?」

「ああ、君も気がついたんだ」

彼女はまじめにうなずいた。

「桐ノ院コンツェルン総帥、桐ノ院圭としては仕事では別段ミスもありませんし、懸案が滞っていることもないんですよ。あちこちへの指示も的確だと思いますし、話す相手へと態度も変わりありません。でも、なんというか・・・キレがないんです」

「キレがない?」

「ええ、いつもならもっと予想外の手段をとったりするはずの所をこちらの予想範囲内の対応をしていて・・・なんだかしかたなく仕事を片付けている、という感じなんです」

二人は練習後の部屋の片づけをしている、悠季と圭の姿を目で追った。

「もしかしたら、プライベートで喧嘩でもされたのかと思ったんですが、そんなこともないようですよね・・・」

確かに二人は変わった様子を見せてはいない。強いて言うなら、このところ口数が少なくなったくらいだろうか。

「飯田さん申し訳ありませんが、今度聞いてみていただけませんか?」 
「いいぜ、それがカウンセラーとしての俺の仕事だからな」

しかし、【暁皇】船長としても桐ノ院コンツェルン総帥としても忙しい圭を捕まえるのに、かなり時間が掛かってしまった。

フジミの練習帰りは、悠季が一緒で声を掛けにくく、練習がない日は遅くまで執務室にこもっている。一人になる時間というものを彼は持っていないのだ。

飯田が手をこまねいている間に、どうやらオーケストラ仲間の何人かも彼の様子がおかしいことに気がつきはじめたらしかった。オーケストラの世話役である石田や五十嵐が、口には出さないが心配そうに見ている。

しかたない、と飯田は腹をくくった。

「おい殿下、ちょっと話があるんだがね」

「何でしょうか、話は手短にお願いします。これからまた会議がありますので」

最後の手段として、仕事中の執務室へと押しかけて声をかけることになってしまった。

「手間は掛けないよ。一つ答えてくれさえすりゃあすぐにでも退散する。・・・・・なあ殿下、何があった?」

しかし、彼のポーカーフェイスは崩れない。

「何があったと言われても、そのような漠然とした質問には答えられませんが」

「何を言われたのかは、自分でも分かっているはずだぜ。このところのお前さんの変調ぶりに気がついている人間は俺以外にもいるんだからな」 

さっさと吐いちまえ、と飯田は低い声で脅した。

「・・・それほど僕の態度はおかしかったですか?」

やがて圭はため息をついてそう言った。

「まあな。今は数人が気がついているだけだろうが、いずれみんなにも気がつかれるだろうよ。

お前さんはこの船の船長で、みんなの安全には重大な責任を負っている。お前さんがこれ以上おかしくならないうちに、何とかできないか相談を仕掛けるのには、俺は最適な人間だぜ。

それがカウンセラーとしての俺の仕事なんだからな。酒でも飲みながら・・・・・それとも正式にカウンセラー室で診察、ということにするかい?」

「やめて下さい!・・・分かりました。では今夜フジミの練習の後、音壷まで付き合っていただけますか?」

「いいぜ。じゃあ後でな」

飯田はうなずくと、飄々と執務室を去っていった。







「皆さん!ちょっとお話があります。聞いていただけますか」

フジミの練習場で、ニコニコ顔の石田が嬉しそうに団員を呼び集めた。

「かねてから希望していた、演奏会が開けることになりました!」

 部屋にいた全員から歓声が上がった。

「ホールのキャンセルがありまして、十一月二十七日に借りられる事になりました!」

 あと二ヶ月ほど後の時間。団員たちは口々にそれまでに曲が仕上がるだろうかとか、初めての演奏会への不安を言いながらも、顔は期待で嬉しそうだった。

 一人だけ顔を強張らせている人物がいたのだが、演奏会の興奮に浮き立っていた団員たちは誰も気がつかなかった。

「おい悠季君、今回はコンマスとしてちゃんと仕事が出来るな。今までは雑用ばっかりだったからなあ」

 飯田が話しかけると、悠季はあわてたように笑顔を取り繕って見せた。

「え、ええ。そうですね。・・・そうですよね」

だが何事かを思い悩んでいるようで、その後も心から嬉しそうには見えなかった。

演奏会の曲目の相談が始まり、みんなの意見をまとめて、初めての演奏会なのだからあまり背伸びをせず今までやってきた数曲をもっと習熟して発表しようということになり、出来れば更に新しく小曲も追加して披露しようということに決定した。

それから練習が始まったが、いつもより熱が入った演奏になり、みんなが上機嫌の内にいつもの時間に解散となった。

「悠季、僕はちょっと用事がありますので、先に帰っていただけますか?」

「・・・・・ん、分かった」

何か言いたそうだった悠季は、言葉を呑みこんでそのまま自分の部屋へと引き上げていった。








「で、何があったんだい?」

飯田が開口一番にずばり、尋ねた。

ここは成人のみが入れるフロアにあるクラシックパブ『音壷』。

フジミのある場所から少し離れているので、オーケストラに所属している人たちと出会う確率は少ないし、圭もそれをねらってこの店を選んだ。

圭と飯田は店の奥の席に腰を据えると、簡単なつまみを注文してから、回り道せずに話を切り出した。

「・・・たいしたことはありませんよ。ただ演奏会の少し前に優秀なフジミの団員が一人、船を降りるせいで減るという話くらいですかね」

 圭がそっけなく言った。

「悩んでフジミの指揮がおろそかになるほどの人間かい?」

「緑簾で、悠季が【暁皇】を降ります」

 飯田は思わず飲みかけていた酒を吹きだした。

「なんだって?!そりゃ、どういうことだい?」

圭は彼とのやり取りを話し出した。

彼が菫青での出来事の後、急に【暁皇】を降りると言い出したこと。そして、圭が何とかして悠季の決心を変えようとしたが、決意を変えられなかったこと・・・。

何が彼の気持ちを急に変えたのか知りたくて、圭はその時背後に流れていた星間ニュースを調べてみた。

あの時、悠季は確かにニュースを見ていて顔色を変えていた。

ニュースの内容は・・・。

『・・・では、次のニュースを。惑星那由他の文化省の長官ダヴィド氏が、緑簾に在住のエミリオ・ロスマッティ氏のマスタークラスの講習に、自惑星で有望な新進のバイオリニスト数人を参加させることを決定しました。

これは文化省の事業として、那由他の音楽文化にこれから貢献していってもらいたい若手の音楽家育成のために今回立ち上げられた事業です。那由他の官費留学生として選ばれたのは、こちらの三人で・・・・・・』

なるほど、これなら悠季が動揺した理由も分かる。

「彼は最新の音楽教育を受けていない。それがコンプレックスなのだと言っていました。

僕としては十分にプロとしてやっていけるだけの実力はあると思ってはいるのですが。だが不安が消えない以上、ロスマッティ師の下で修行をしようと彼が思い立った事は、自信をつける為にも必要かつ妥当な決断なのだと僕も思います。

ですから、そのことに反対はしません。しかし、修行が終わった後の本拠地として、【暁皇】に戻ってくれないかと頼むと・・・」

「断られたんだな」

「・・・ええ、修行がいつまでになるか分からないし、自分がちゃんとプロになれるかどうかも分からないから、と。

彼はパトロンになって演奏活動の協力をしようと僕が提案した申し出も断わってきました。

桐ノ院コンツェルン総帥の地位も財産も彼には興味がない。何とか彼の気を惹こうとしてあれこれしましたが、僕の思いは重荷だったのかもしれません。

友人としての好意と思いやりはふんだんに与えてくれているのですが、しかし・・・・・」

圭の口調は苦い。

口にしなかった言葉の先は、おそらく恋人となってはもらえず、別れたくないと思ってはくれないというところだろう。

「てっきりお前さんと悠季君は、恋人同士なのかと思っていたんだがな。いや、俺だけじゃなく、この船に乗っているもののほとんどは、いつお前さん達が婚約発表するか期待していたと思うが」

飯田は藍昌で数日間二人きりで過ごしていた時間のことを指摘した。

「あれは、二人の・・・まあ、婚約旅行くらいにはなったんじゃないかと思っていたよ」

圭は苦笑した。

「そんな色めいた話はありませんでしたよ。

確かに藍昌の事件では、向こうの政府の出方が分からなくて、事情が事情だけに同じ部屋で過ごすことになりましたが、彼とは恋愛感情抜きの時間でした。

そうですね、親しい友人同士が休暇を過ごした、というところですか。確かに、藍昌に到着する直前のわだかまりは、あの数日二人だけで過ごした時間でいくらかは消すことが出来たかもしれませんが、恋人という間柄には進めなかった。

いや、出来なかったのです」

 圭は言葉に残る苦い思いを消し去ろうとするかのように、グラスに残っている酒を一気に飲み干した。

「彼はきっぱりと言っていましたよ。僕は友人以上のものになるつもりはない、とね。僕と悠季とが恋人同士だという噂を立てられて、それが単なるデマだと全面的に信じているのは僕だけで、そんな噂を全く知らないのは悠季だけでしょうけどね」

「そうなのか?俺はてっきり悠季君もお前さんに好意を持っているように思えたんだがね」

「それは僕が彼に恋人になってくれるよう、わがままを言わなくなってからです。もしまた言い出したら逃げて行ったことでしょう。

彼にとっては、音楽以外の全てのものは、余計なもの、なのかも知れませんね。

一時は僕も、彼が僕を恋人として見てくれるチャンスがありそうだと期待を膨らませたこともあるのですが・・・期待だけに終りました。最初から【暁皇】で世話になるのは緑簾までだと決めていたそうですから」

「彼がそんなにお前さんの求愛をかたくなに断るのは、なぜだろうね?誰か恒河沙にでも好きな人でもいたからかな?

恒河沙では、同性愛は別にタブーになってなかったはずだろう?それとも彼は男性相手では恋愛感情を持てないということか?」

 圭はしばしためらった後、下を向いたまま小さな声できり出した。

「ご・・・・・した相手を好きにはなれない、ということですかね」

「ご・・・うかん?」

 飯田はじろっと、圭の顔を見た。彼の顔は静かで、重大な事件を告白したとはまるで思えなかった。

「・・・やはり、ね。そういうことだったのか」

「ご存知だったのですか?」

「いや、知らなかったぜ。ただ、俺の中の推論の一つにそいつがあったんだが・・・まさか本当に当たっちまうとはね。それで、どうした?」

「言ったとおりですよ。僕が彼に嫌われるのは、当然の結果というわけです」

圭は肩をすくめてみせた。

「それでも、悠季君はお前さんを露骨に避けるようなことはしてなかっただろう?俺が気付くような態度の変化は無かったぞ?」

「あの事件の後、まあ、いろいろあったのですが、結局のところ彼には『自業自得だったのだから、その事にはもう触れたくないし、忘れたいと・・・。どうか僕にも忘れてくれ』と言われました」

「おい、それは・・・、どういうことだ?」

「自分ではじらすつもりはなかったのだが、そう思えるような行動を取ったのだから、当然の報いだと。だからこれ以上はお互いに忘れた方がいいのだと、そう言いましたよ。彼は僕に謝罪する余地も与えてくれない・・・!」

 ふーむ・・・とうなりながら、飯田は腕を組んだ。

「それでいて、友人としては認めてくれる・・・?そりゃあ確かに難敵だ。普通自分をひどい目に合わせた奴を許して、なおかつ自分の傍にいることを許せる奴なんざそうそういるもんじゃない」

「ええ、僕もそう思います」

「よほど特別なお人よしか、お前さんを少しでも受け入れる気があったかだが・・・?」

 圭は首を横に振った。

「僕もそう思ったのですが、だったら船を降りるなどとは言い出さないでしょう」

「なあ、彼の行動について、お前さんが『自分をじらしている』と感じたのは、彼が性愛については寛大な恒河沙の育ちだからかい?それとも、彼が【ハウス】の関係者だからかい?」

 ダン!と圭の持つグラスがテーブルを打ち、こぼれ飛んだしずくで指が濡れた。

「どうしてそれを・・・!?」

 【ハウス】という場所があってどんなことが起きたのかは、今ではもう知っている人さえ限られているはずの、過去の出来事なのに。

飯田は自分の右の太腿をぽんと叩いた。

「悠季君のここに、刺青があるのを見たんだよ。彼の部屋に最初に訪ねていった時にね」

飯田は悠季がバスローブで部屋の中にいた時に初めて出会っている。

ランドリーの使い方を知らなくて着ていた服を手で洗濯したという話だった。洗いあがった服に着替える時に、ちらりと・・・それが目に入った。

「最初は綺麗な幾何学的な蔦の模様の刺青を入れているなと思ったんだが、よく見ると、色と奴隷番号の入れ方は、俺が前に知った【ハウス】の子供たちのやり方によく似ていたからな。そこに失効線が入っていて、蔦模様に見えたんだ。

 実は俺が【暁皇】に来る前に、その事件の経緯を調べる機会があったんだがね。あの事件は、結局政治がからんで最終的にはうやむやにされていたはずだ。むしろ子供だったお前さんが知っている方が不思議なくらいさ」

 飯田が【暁皇】に乗り込む前の経歴を、圭は余り詳しくは知らない。しかし今の一言で、彼が様々な事件をかいくぐってここに来ていることを知らされた。

彼はにこやかに笑いながら、今度は圭が話の続きを聞かせてくれるべきだ、でもいうように待っている。

やむなく、圭は【ハウス】での悠季との出会いを告白するはめになった。

「・・・そうか、福山氏のお孫さんが・・・。なあ、もしかして、彼はあの事件のせいで、お前さんに迷惑が掛かると思ったんじゃないのか?それとも、例の恒河沙から脱出する時に聞いた、連邦と事を構えることを心配しているのかもしれない。だから【暁皇】を巻き込むまいとした・・・?」

「そのような事で、僕の求愛を拒んでいるのなら喜んでトラブルを背負ってみせますが・・・」

圭は自嘲してみせた。

「【ハウス】での事件は、関係者の数人を逮捕し、閉じ込められていた子供たちを救出したことで、一応の決着を見ています。

もっとも大本で関わっていた人間が何人かいたらしいとは言われていますが、捕まらないままで報道は押さえられてしまった。

今ここで、あそこにいた子供がもう一人出てきたところで、今更何の波風も立たないでしょう。それに連邦の奴隷の件も、【暁皇】が巻き込まれるような事件にはなりませんよ。

今回の違法な恒河沙脱出の件はきちんと惑星間評議会へ提出できるように記録もそろえてありますしね。

以前から汎同盟が目をつけて奴隷制度については極秘に捜査されていましたから、もうすぐ捜査が終了し、連邦の欺瞞が惑星間評議会において暴露されて奴隷制廃止という決着をみるのは時間の問題です。

そうなれば、僕が奴隷一人を恒河沙から違法な国外脱出させたことなど瑣末な事になってしまう。つまり両方の事件とも、彼を僕の伴侶として求愛するのに、たいした障害にはならないのですよ」

「お前さん、その話を彼に言ったのかい?」

「いえ、彼にとって【ハウス】の出来事は、つらすぎるでしょう。それにもう過ぎてしまった事です。

今更蒸し返しても仕方がない。奴隷制度の件も僕らは黙って静観していれば、いずれ物事は決着を見ることになります。

僕が口に出して安心を強調するより、ゆっくりと報道で事実を知ったほうが納得がいくというものです」

「だが、彼はそうは思っていないかもしれない」

 圭が飯田の顔を睨み付けた。

「なんとも過保護なことだぜ。

確かに嫌な事や思い出したくないことに触れないことも思いやりだろうが、そのことが逆に相手にプレッシャーになるってこともあるんだよ。俺から言ってやろうか?俺はカウンセラーだ。彼と面談する権限は十分ある」

「そして、この船に残ってもらうよう説得するのですか。

船長が情緒不安定になって困っているから、相手をしてやれと?まっぴらです!そんなことを彼に言うくらいなら、僕は船長の地位を誰かに譲りますよ。

・・・・・飯田君、いつも通りの冷静な僕に戻れるよう努力することを誓いますから、どうか悠季には何も言わないでいただけませんか?」

「それほど彼が大切かい?」

「彼はつらい経験をして今ここにいる。これ以上彼を苦しめることは出来ません。彼は幼いころから誰彼に虐待され、場所を点々として育ってきた。僕までが彼にあれこれと強制したくはありません」

 圭はため息をつくと、「君に愚痴など言わなければよかった」とこぼした。

「おいおい殿下、もしここでお前さんが言い出さなかったら正式にカウンセラーが干渉に入ることになるんだぜ。

そうなれば、もっと面倒な事になる。お前さんが今は分家の連中を押さえ込んではいるが、こんな弱みを知られたらもっと困るだろうに。今更な愚痴を言うな。俺がいいようにしてやるから」

「ですが・・・!」

「お前さんにここで崩れられちゃあ困るんだよ!分かっているんだろう?」
飯田は低くても厳しい口調で叱りつけた。








「えーと、今日の練習は・・・」

 今日はフジミの練習日。コンマス兼雑用係の悠季は、一足早く練習場に来て椅子をセッティングしたり、譜面台を人数分用意したりと忙しい。

「お、悠季君、今日も早いな」

「あれ?飯田さんこそ早いですね。今日は一番乗りですか?」

飯田はあたりを見回したが、思った通り、彼の周囲にいつもくっついてくる背高のっぽの男はいない。

「殿下はまだかい?いつも君は彼と一緒に来ているんじゃなかったのかい?」

「彼でしたら連絡がありまして、会議が長引くからということで、少し遅れてくるそうです。それまで各自パート練習をしていて欲しいと連絡がありました」

そのはずだった。先ほど確認した時点でもまだ会議が続いていたようなのだから。人が悪い事に、実は彼が一緒に来ていないことを充分承知したうえで、聞いてみたのだ。

「そうかい、じゃあ・・・今ちょっと君と話がしたいんだけどね」

「はい、なんでしょうか?」

不思議そうな顔で悠季が答えた。