滝の裏

 かすかな音が聞こえ、がやがて轟音になり、大きな空間に出た。
 そして大洞窟の奥には切り立った崖があり、そこをなだれ落ちる『水晶の滝』があった。
 岩にあったって砕ける水が細かい水滴となって天井からもれ出た光でさまざまにきらめき、まるでその名のとおり水晶のようだった。
 滝つぼからはとうとうと霧が立ち込め、清水が流れ出し早瀬となって、岩と岩の間を通って、さらに地下へ流れ込んでいる。


 滝の背後の岩面にくぼみがある。かれの手をひき、一緒に輝く水のカーテンをくぐりぬけた。
 そこまでゆけばアンドリア人の監視装置から逃れられる。例え、少しの計算違いがあっても、滝の音で何も聞き取れはしまい。
 

 僕は圭を振り返り、真実を話し出そうとした。
 だが、こわいほど真剣なまなざしを向けられ、僕は何も言えないまま、抱きしめられてしまった。
 まっすぐに見つめる、自分にない、男らしい美貌…
 彼が何をしようとしているのか、わかって、眼を閉じてしまった…まるで、それを望んでいるかのように。


 しかし、何も起こらなくて、そろそろと眼をあけた時、切れ長の眼がすぐ傍にあった。びっくりしているうちにキスされた。
 そのまま、あたたかなものが口の中に入ってきた。それが舌だとわかって、絡めてくるそれから逃げようとしたが、狭い口の中には逃げ出すような場所はないのだとわかっただけだった。
 そのうち、ざらっとした感触がくすぐったくなり、やがて、熱を帯びて不思議な感覚を呼び起こす。
「…う、うぅん」
 知らずに僕は呻いていた。
 感じたことのない感覚が身体を駆け巡り、頭をぼうっとさせ、知らずにもっとと、舌を差し出していた。
 いつの間にか、彼の手は、パンデラの葉を引き剥がし、素肌を撫でまわしていた。
 心地よいそれはさらに熱を煽って、ゾクゾクとした戦慄になり背筋を駆け降り、下腹を熱くした。
 さらに、口の中を愛撫され、舌を強く吸われたとき、力が抜けて立っていられなくなった。


 力強い圭の腕は、立ってられなくなった僕を軽々と支え、そっと、苔の生えた岩の上に横たえた。
 抱きかかえられた手が離れてゆきそうになり、僕は、かれの首を抱えた。
「や……」
 いやだ、離さないで。
「大丈夫ですよ」
 耳を食むように囁かれそのまま、耳朶をなめられた。
「あぁっ、んん……」
自分でも信じられないような声がでて、あわてて、唇を噛みしめた。
「だめです。傷ついてしまいます」
 それに気づいて、圭は僕の唇を舐めながら、ももを撫でていた手をずらし、大きな手で僕自身を包み込んで、愛撫される。
 他人になど触られたことのないそれが圭の手の中にある事実に羞恥心はさらに煽られ、口を噤んでなどいられなくなって…
「あ、…い、いやだぁ…ぁ」
「こんなにしてるのに、いやじゃないでしょう?」
 圭は僕自身を弄びながら、僕の首から胸を舌で辿りながら、やがて、突起にたどり着き、舐めたり、吸ったりしている。
「やっ…ああ、あぁ…ん」
 やがて、軽く咬まれたとき僕は圭の手の中を汚してしまった。


 圭はその手を僕に見せるとぺろりと舐めてみせた。
「おいしいです」
「なっ!」
 真っ赤になって僕が抗議しようとすると、片足を取られ、つぷりと僕の最奥にその指を差し込んだ。
「今度は僕を味わってください」
「ひっ・・・」
 突然のことに僕は逃れようと身を捩った。
「力を抜いて…」
 圭はびくともせず、僕をホールドすると、指を静かに進めている。
「やだ…」
 嫌がる僕を愛撫しながら、さらに指はそこを探っていた。
 やがて、びくんと僕は身をすくめた。
 何か分からない! でも、身を捩るような感覚が僕を襲った。
 今のは何!?
「ここですね」
 そういうと圭はさらにそこを攻め立てた。
「や、あ、はう、うぅん、や、いやぁ…」
 あられもない声がひっきりなしに出たが、とても、とめられない。
 そのまま、僕は圭の腕の中で、身を捩るしかなかった。
「うぅん、もう、やだぁ、、、」
 涙声に圭はあきらめたのか、指を抜いてくれた。
 ほっとした。けど、不思議な喪失感…
「悠季、愛してます」
 圭が耳元で囁いた。
 そして、またそこに、さきほどより、熱いものがあてられ…


 痛い!!あぁ!やめて!
 引き裂かれるような痛みが僕を襲い、さらに、深く切り裂こうと追い立てる…
 圧迫感は内臓を押し上げるようで、僕は我慢できずに、泣いていた…

 我慢できずに逃げようとする僕の身体を圭は捕まえ、さらに、深く突き上げた。
 ……あ!
 痛みに泣いていた僕のどこかで、変化が起こったのはそのときだった。
 かれが触れた「そこ」から、快感が沸きあがり、痛みを凌駕してすべてを飲み込んでゆく…
「やあぁ、いいっ、いいっっ!」
 僕はめちゃくちゃなことをわめいて、でも、快感はますばかりで…


 やがて、真っ白な闇に、飲み込まれて、なにもわからなくなった…





 (外伝に続く。。。)





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あとがき

やっと、あがりました。
初H。
なんか短いですが、悠季をあんまり、いじめすぎてもなぁ。と、このへんで、終了(ユウキストですから、笑)
外伝の外伝という変則ですが、お許しくださいませ。

原作ではあの手、この手で、付け入る隙がありません(笑)