桐院有氏の密かな愉しみ











「ねえ。・・・・・あのさ、君、困ってないかい?」

「は?困っているとは?」

「そ、そのさ。僕のからだがまだ子供だから、その・・・・・セックスが出来ないだろ?それで、その・・・・・」

「ああ、そのことですか。ご心配なく。君が心配する事はないです。
もちろん君に無理強いはしませんよ。
君を抱いたりしたら、それこそ法律違反だ。

君は未成年でセックスをすることに後ろめたい気分があるのでしょう?
 第一まだ君には性欲が出てきたわけではないはずですね?」

 一瞬で悠季は真っ赤になった。生まれ変わっていても彼は相変わらず純情だ。

「・・・・・そ、そんなことはいいんだ。だって、君がつらいんじゃないかと思うと悪くて。もしよかったら、僕の手か口でイかせてあげたいんだ」

 彼が僕の股間に手を伸ばすと、とっさにその手を握りとった。

「お心遣いだけ受け取っておきますよ。君にそんなことをさせたら歯止めが利かなくなること請け合いです。それより早く大人になって、バイオリンで競演できるように頑張ってください」

「・・・・・うん」

 僕は立ち上がると、彼にやさしくキスを一つ贈る。そして、自宅へと送り届けるために悠季をうながした。





 徐々に千希の中で悠季の意識が出ることが多くなり、僕と一緒に過ごす時は悠季でいる方が多くなってきているこの頃。

 時折何やら言いたそうな顔で僕を見ていることが多い。

 それが何なのか、僕には容易に察しが付く。

 彼は自分が大きくなるまで僕がどうしているのかが不安なのだ。

 今の悠季=千希と、僕つまり有とは15歳の年齢差がある。

 僕が桐ノ院圭としての記憶を完全に取り戻したのは、第二次成長期のあたりなのだから中学生になった頃だが、現在小学生の彼にはまだ性欲は目覚めてはいないだろう。

「今まで待っていたのですから、君が僕と暮らせるようになるまで待ちましょう。僕が欲望のままに君を抱いたりしたら、千希という子供のからだが納得しないでしょう?

 不自然な事をすれば、どこかで歯車がかみ違ってしまう事にもなりかねない。君と愛し合い暮らしていく時間ならばこれから先に十分あります。

あせらずにゆっくりいきましょう」

「・・・・・うん。君がそう言うのなら」

 ほっとしていることがよく分かる。

 君は僕が誰か他の人に心を移すのではないかと心配なのだろう。

 大丈夫。僕は君以外の男性と恋に落ちることなどあり得ませんので。

 僕が絶倫だということは彼もよく知っている。

 自分が子供でいる間、僕が誰と何をしようと悠季は見て見ぬふりをしていると言ってはくれたのだが、彼がつらそうなのは明らかだ。

 だから僕が以前のように悠季と二人で暮らせるまでの間に僕が誰かと関係を持ったなどという不祥事が、彼の耳に入ることは決してないはずです。


――もっとも、肉体の欲求に負けて異国でそれなりのことがあったのは、悠季に永久に極秘なのですが・・・・・――



 こんな風に僕を切なく見てくれる彼と、ろくに手も触れぬまま過ごして別れた晩は、彼を空想の中で愛し抱きしめる事くらいは許してもらえるでしょう?





 夢の中だけ、僕はまだ子供の君を抱く。












 悠季とキスをする。

 いつものようなセレモニーキスではなくて、快感を高めるような熱くて濃厚なキスを。

 そして、僕は彼の華奢でまだ青く固いからだを愛撫する。彼は本格的に性に目覚めてはいないが、僕の施す愛撫には敏感に応えてくれる。

 なめらかな肌は、大人になっていた頃の悠季と変わっていない。白くて抱き心地のよいからだはこの頃からすでに持っていたのだ。

「ね、ねえ。まだ君服を脱いでないじゃないか。僕にさせて」

「・・・・・ええ」

悠季は嬉しそうな顔で僕のズボンの前立てを開けると、中からはちきれんばかりの僕のペニスを引き出した。

「すごく大きいね!」

 そう言うと、小さな口を精一杯に開いて、僕の傘の開いた亀頭をくわえ込んだ。ちろりと桜色の舌が出て、ゆっくりと鈴口あたりを嘗め回す。

「・・・・・ん。うふぅ・・・・・んんっ・・・・・」

 彼のあたたかな口腔にくわえられているのだと思うだけでイッてしまいそうな気がしてくる。

 かわいい手が茎に添えられて、絶妙な力加減でしごいていて、もう片方の手は僕の双珠をやんわりと握り、時折指がアナルの近くを撫で回してくる。

「・・・・・き、君は忘れていないようですね・・・・・」

 悠季であったとき、君は時折こうやって小悪魔のように僕を翻弄してくれたものだが。

「・・・・・そう?じゃ、もっと頑張らないとね」

 そう言うと、僕の弱点である太腿の内側や鼠頸部を絶妙のタイミングでマッサージしてくれる。

 更には彼の指が僕のアナルへと入って行って、前立腺を・・・・・!

「うっ・・・・・!も、もう、悠季・・・・・!」

 僕は彼の口腔へとほとばしらせた。

「・・・・・うわっ!」

 彼の口からぽたぽたと僕の吐き出したものが零れ落ちていた。

「ご、ごめん。飲みきれなかった」

 そんなふうに困った顔をして、上目遣いで僕を見つめてくる悠季の顔は・・・・・!

「も、もう我慢できません!」

 僕は悠季に飛び掛って押し倒した。






 
ことん。





 どこかで小さな音がしたのが聞こえて、僕は我にかえった。

 どうやら伊沢が、『ここまで』と僕を制したらしい。

「確かに、これ以上妄想を進めると、本当の悠季にもやってしまいかねないですかね」

 苦笑しながら、僕は後始末をした。

 あと少しの辛抱だ。

 彼が高校に入って、一緒に暮らせるようになったらまた恋人になろうと約束している。



 もう少し。





僕は夢の中の悠季を抱きしめて、目を閉じる。














「ショタの裏」というのは、私にはと〜っても厳しい注文っす。(泣)

なんとか中央突破を狙ったら、大破。
GAME OVER ってとこでしょうか。

これくらいで、ご勘弁を・・・・・。遁走







2006.2/11 脱稿