背中合わせのモノローグ


――星々は夢にささやく番外編――








 闇の中、僕は漂っていく。けっして居心地のいい闇ではないが、自分ではここから出て行く方法が分からない。
もがけばもがくほど闇の奥へと沈んでいく気がする。

『ここは、どこ?誰かいないの?』

まったくの無音の闇。

『・・・誰かいないの?』

 このまま沈んでしまって、元の世界へは戻れないのだろうか?

『元の世界・・・って、僕はどこにいたんだろう?』

 どうしても思い出せない。それならこのままここに漂っているのも、沈んで堕ちて行くのも悪くないような気がしてくる。

――悠季、いい加減にもとの所に戻らなくちゃいけないよ。ここは君がいる場所じゃない。このままここに閉じこもっていても何の解決にもならないしね――

『え?誰、君は誰なの?』

――僕たちはいつも君を見守っているんだよ。だから出てきたんだ――

 闇の向こうから声が聞こえる。とてもなつかしい声が。

――ほら、君を迎えに来ているものもいるしね――

 ふいにわき腹の辺りに温かいものが触れた気がした。

『あれ?何なんだろう?』

 僕がそちらを見てみると、金色の光が僕のわき腹に寄り添っていた。温かく気持ちのよい光が。

その光は僕を心配してどうにか慰め力づけようとしているらしかった。そっと触ってみると、ますます嬉しげに光って見える。

『そうか、君は僕を呼び戻しに来てくれたんだね』

――戻るんだよ、いいね。ゆうき・・・きっと大丈夫さ・・・――

 声は、元のように闇の中へと遠ざかって消えていった。

 徐々に記憶が甦ってくる。自分が悠季という名前で、バイオリンが好きで、この前までおじいちゃんと暮らしていて、でもおじいちゃんが亡くなって、今は【暁皇】に乗っていて、そして彼に・・・。

「い、いやだぁっ!やめろぉっ!!」

 思わずのどから悲鳴が迸った。ベッドから飛び起きて、必死で僕をなだめようとする腕を振り払って、暴れまわった。今自分がどこにいて、そばに誰が居るのかも分かっていなかった。

「悠季!大丈夫です!落ち着いて!何もしませんから!落ち着いて!」

 自分を抱きとめてくれるのが誰の腕なのか知らず、僕は怯えきって必死で逃れようともがき続けた。うわ言のように今までの嫌だったことを次々としゃべっていた。

また僕にそんなことをするのか、僕は嫌なのにこのからだが欲しいのか?

でも、その腕は僕を抱き支えて、決して離そうとはせず・・・。

「落ち着いて、落ち着いて・・・」

 僕の背中をぽんぽんぽん・・・とあやしなだめてくれる手はとても暖かい。

昔まあくんにしてあげていたように、不安で一杯な気持ちを和らげてくれる、穏やかなしぐさ。

「まあくん・・・?」

「・・・大丈夫ですよ、悠季。僕がそばについていますから。ゆっくりお休みなさい」

「・・・うん」

 ぽんぽんと背中を叩く手の暖かさと、抱きしめてくれる大きなからだの安心感を気持ちよく感じながら、僕はまた眠りに入っていった。

先ほどのような不気味な闇の中ではなく、何も感じない穏やかな休息の中へと・・・。

























僕が悠季に強姦という犯罪をしでかしたあと、悠季は意識を失って一日半の間 目を覚まさずにいた。

 僕がやったことを無条件にののしり、抗議してもいいはずの彼が、逆に僕に偏見を持っていたことを謝罪し、心の限界を超えてしまって倒れてしまったのだ。

 僕は心から後悔した。どうして彼の気持ちを思いやって、もっと少しずつ彼の心を向かせる事が出来なかったのか・・・。何をそんなに焦っていたというのか。

 もしかすると、僕は悠季のことをどこか無意識のうちに侮っていたのかもしれない。恒河沙では楽師というのは、乞食や街娼と同等に扱われているという。少し顔のいい男は、ただの街娼よりも体裁のいい楽師を名乗ると聞いたことがある。

また、悠季が【ハウス】という娼館にいたらしいことに気がついていた僕は、彼のからだを通り過ぎて行ったに違いない何人もの男たちに嫉妬し、自分の宝物を汚されたかのような苛立ちを感じてしまったのだ。

悠季が、たとえ多くの男を相手としていた男娼であっても、あるいはもっとすさんだ生活をしてきた者であっても構わない。悠季という彼自身の心を含めた全てが、悠季だけが欲しい!

だから、僕が愛していると本心からの思いをぶつければ、答えてくれるのではないか。僕のことをすぐに愛してくれるとまでは望めなくても、僕の思いに答えて肌を重ねる夜を与えてくれるのではないかと思ったのだ。あんなふうに僕をじらすような言動をとって、僕を振り回してくれているのだから、と。

・・・それが、僕の妄想に過ぎないとはまったく考えずに。

 彼を見ていれば分かることではなかったか?彼は誰にも媚びず、自ら誰の援助も求めようとはしない。彼が奏でるバイオリンの音のように、清冽で潔い。誰かをじらしたりもてあそぶような言動など思いつきもしない人柄だったのだ。


 彼が意識を失っている間、サラマンドラのエマはずっと悠季の傍から離れようとはしなかった。まるでここを離れると、二度と彼が戻らなくなるとでもいうように。

 事実彼は悪夢にうなされて、悲鳴と罵声を上げながら暴れまわり、彼の過去に何があったのか、涙と共に口走るうわ言で、先刻彼の口から淡々と話されていた身の上話の裏づけをしてみせた。

 まるで夢遊病患者のように、禍々しくほほえみながら僕をセックスに誘ってみせるしぐさまで見せてくれた。これが、彼が嫌でたまらないという、植えつけられた暗示だったのだろう。僕には前もってこうなるかもしれないという予想がたっていたせいか、そんな姿を見ても痛々しさの方が勝ってしまい、誘いこまれて欲情を覚えたりなどしなかったが。

彼がどんな思いをしてきたかの生々しい悲劇の再現。そうして・・・暴れるごとに衰弱していった。

僕は彼が暴れるたびに、はるか昔に僕がしてもらった時と同じやり方で、悠季を抱きしめて背中を優しく叩いて慰めると、そのまま眠りに落ちてしまうのを繰り返していた。

眠り込んだ悠季を抱きしめて、僕はため息をついた。僕のことをまあくんと勘違いしているのが、ひどく残念だった。

高嶺が恒河沙を出る時にいっていた言葉を思い出す。

『おいお前、そいつに手を出したいんだろう?お前の好みそのもののやつだからな。だが、気をつけろよ。そいつはうかつに手を出すとヤバイやつなんだぜ』

 あの言葉を聞き流していた自分が悔やまれる。彼は多くの傷を負ってここにたどり着いてきていた。表面にはまったくその傷を感じさせない穏やかさで。その強さに改めて惹かれる自分を感じていた。どうしたらこれほどの苦しみを乗り越えて笑っていられるのだろう。

そうして、どうやったら僕を愛してくれるようになるのだろうか?

 僕にはその方法を思いつくことが出来なかった。しかし、どうにかして彼を振り向かせたかった。幼かったあの日から、もう一度の再会を切望し、想い焦がれ続けてきた初恋の人が、今、自分の腕の中にいるのだから!

悠季をこうやって抱きしめている、それだけで僕の胸の中は愛しさで一杯になってしまう。彼を傷つけるものはどんな相手からであっても守り通してやりたかった。それが例え僕自身であっても・・・。

彼が起きた時に、気軽に話せる友人という立場をもらえるかどうかさえ、口をきいてもらえるかどうかさえ分からないが・・・。

彼は僕にもう一度チャンスをくれるだろうか?


















 あれほどパスワードで動き出す自分を嫌悪していたのに、いざ圭によって暗示の発動される!・・・・・というところまで行った僕は、どうやら開き直ってしまったらしい。

 あの時は筋道だって何も考えられず、混乱したままで、ついには気を失って圭を心配させたけど、目を覚ましてみると、『自分が心配するほどにはたいしたことではなかったのではないか・・・?』と思えてくる自分がいる。あまりにも圧倒された快感が嵐のように襲いかかり、流される事にかなりの恐怖を覚えていたというのに・・・。

 人間、頭で考えている事が一番怖いと言う事なのかもしれないのかな?

 いや、もしかして相手が圭だったから今こんなふうに思えるのかもしれないのかな・・・?

 僕はあの晩についてのことを『君には思いっきり恥ずかしいところを全部見られちゃったから』と圭に言った。僕は今更彼に取り繕ったところを見せても仕方ないと思ったからだ。自分の嫌だと思っていることも、不安に思っていることも全て口と態度に出してさらけ出してしまったから。そして、僕が恥ずかしい、嫌だと思っていた事を、彼はいともあっさりと受け入れてくれてしまった。『たいしたことではありませんよ』と穏やかに微笑みながら慰めてくれる。

そうなると、僕が後生大事に抱え込んで悩み、嫌悪感に考える事も拒否さえしていたことが、とても些細な問題に思えてしまう。まるで笑い話のように。

『そうか、そんなふうに考えてもいいんだ。昔のちょっとした傷がまだうずくんだと思えばいいのか』と。

 そうして開き直った僕が、偏見や疑いを持たず恋愛だのセックスだのというフィルターを外して、普通の友人同士として圭と付き合ってみるようになると、彼という男について『とてもいい奴なんじゃないか?』と思えてきたのだ。話題は豊富だし、物の見方や考え方もとても興味深いし。親友としても音楽を愛するもの同士としても、長く付き合っていけたらなあとも思う。

 気がつけば船で知り合った飯田さんやモーツァルトのマスターの石田さんよりも、僕らはざっくばらんな会話をしている。

 もっともその会話の途中、『親しい友人以上のものにはなってくれないのが残念だ』と、彼が時折冗談めかして言い出すのが玉に瑕だと思う・・・。

 うん、僕はそう思ってる。




















 意識を取り戻した時、彼は僕を許し友人としてもう一度やり直す機会をくれた。

 なんという寛大さ!

 駆け引きと腹の探り合いでしか人を判断していなかった僕にとっては、戸惑うほどの人の良さ。平静を装いながらも、僕は心の中では小躍りしたいような気分だった。

 それでも彼は、はじめは小動物のように僕の方をうかがい、無意識にいつでも逃げ出せるような体勢をとっていた。当然だ、そうされても仕方が無いようなことを僕はしたのだから。

 ところが時間がたつにつれて、悠季は驚くほど僕に警戒心を持たなくなっていった。彼の心は柔軟で、基本的に人の善意を信じているのだろう。彼の寛大さは、彼の心の強さを表しているのかもしれない。

 彼の人となりを知るにつれて、僕はますます彼に惹かれていく。

 僕が彼を自分の音楽室に招待してみると――最初は抵抗していたが――部屋の音響が気に入ったのか、そこでバイオリンを弾いたり、僕のライブラリを片っ端から聞いていくようになった。

 福山師といっしょに恒河沙で暮らしていた時に、彼の持っていたライブラリは何度も何度も聞いていたそうで、新しい曲がたくさんあるこの部屋は、彼にとって宝物の宝庫に思えたらしい。

 次から次へと選んで何曲も聞いていったり、部屋においてある音楽関係の蔵書を片っ端から読んだりと、ほとんど毎日のように入り浸っている。気がつけば、あのソファーに横になってうたたねをしていたりもする。

 僕を信用していると思えばいいのか、それとも恋愛に対する無頓着さゆえか。・・・眠っている君の唇にくちづけをしたい僕がいることなど、考えてもいないのだろうか?

 彼は僕を避けて過ごしていた数日間に、自分の練習場所としていた、自称『秘密の花園』という場所にも僕を招待して、連れて行ってくれた。木立の茂みに隠れているそこは、確かに誰にも邪魔されずにバイオリンが楽しめる秘密の場所で、音が拡散してしまうのさえ我慢すれば、心地の良い場所だった。

 そこには、植えたものではない種がどこからか飛んできて生えてきたらしいたくさんの花が咲いていて、周りの木々の茂り方も公園の他の場所より著しいように思える。

「悠季、君はここに何か品物を持ち込みましたか?植物の肥料とか、照明のようなものを?」

「いや、僕が持ち込んだのは、バイオリンとエマくらいだよ」

「どうやらここは、他の場所より生育がいいように思えるのですが」

 調べた方がいいのかもしれない、と僕は思った。まるで植物までが彼の音楽のおかげで生育がよくなっているかのように思える。

 だが、そんな船長としての心配は心の隅に瑣末なこととして追いやって、僕は悠季と過ごせるひと時を楽しむことに専念することにした。

 悠季のバイオリンは、とてもすばらしい。彼の性格そのもののように、温かくて清冽で人を惹きつけてやまない香気に満ちている。

 今はまだ若干の技術の未熟さや硬い感覚を残してはいるが、この演奏が完成した時にはどれほどのものになるのか、ぜひ聞いてみたいと思わせる際立った魅力を持っている。その才能が満開に花開いた時にぜひ僕もその場に立ち会いたいと願わずにはいられない。

 バイオリンを弾き疲れたあとは、僕の横にやってきた悠季が優しく微笑みながら話しかけてくれる。

 いつもは邪魔をするエマは、広くて開放的なこの場所に興奮しあちこち飛び回っていて、木の実をかじってみたり、リスをからかってみたりと忙しく、悠季のもとには戻ろうとしない。おかげで今僕は悠季を独占していることが出来る。

「圭はずっと船に乗っていたのに、いろいろな星の事をよく知っているよね」

「船で生まれ育ったからこそかもしれませんね。惑星で生活するという事に小さい時からあこがれがあるのです。もちろん【暁皇】を愛していますし、この船が一番居心地がいいのですが、船の中とはちがう環境が興味深くて、幼い時の夢の一つは、いろいろな惑星に行ってみてその星の自然や人々の暮らしに触れるような仕事に就きたいと思っていました」

「一つってことは他にもあったんだ」

「ええ、僕は音楽家になりたいとも思っていました。指揮者に、と」

「ああ、それで君の音楽室にはあんなに膨大なライブラリがあるんだね」

 草の上に並んで座り、こうやって話し合っているのは夢のように思える。出来れば彼の肩を抱きよせて話したかったが、それはさせてもらえない。

――いや、彼に触ってはならないと、僕が自らに禁止したのだ――

 僕はむくりと起き上がってくる情欲を押し伏せて、自分に言い聞かせた。

 僕と悠季は様々なことを話していた。音楽のこと、好きな食べ物、好きな場所・・・。悠季は小さい頃のまあくんとの思いでさえも懐かしそうに話してくれた。

 しかし僕は、あの那由他で悠季と会ったことがあるとは話さなかった。悠季が覚えていないのなら、無理に思い出させたくなかったし、未練がましく『ゆうき』を捜していたのだとは思われたくなかったのだ。

「圭のお母さんは、どうして【暁皇】に乗っていないの?」

「母と妹は、現在プレーズ星に住んでいますよ。地球に近い惑星ですね。父が死んでから、どうやら惑星で穏やかに過ごす生活を好むようになったらしく、妹がそこの惑星の大学に進学したのを機会に、いっしょに船を下りてそこに住んでいるのです」

「そうかぁ。じゃあお母さんと会えないのは寂しくないかい?」

「もう僕は子供じゃありません。それにもともとあまり親密な関係ではありませんでしたし・・・」

 悠季は僕が言いよどむのを不思議に思っただろうが、それ以上は追求して来なかった。彼には、昔も今もそうやって人の心を思いやってくれる優しさがある。

「おじい様とは仲いいんだよね」
「ええ、祖父は僕が一番尊敬している人物です。僕が博物学や音楽について、もともと興味をもつことになったきっかけは、祖父のコレクションからでした。特に音楽についていえば、祖父は若いときにはチェロを趣味としていましたから、その影響は大きいですね」

「じゃあ圭はおじいちゃん子なんだね」

「僕が、ですか?」

「うん、あの方の話をしている君の顔はすごく嬉しそうだ。とってもかわいいよ」

「こんな大男の僕にかわいいはないでしょう」

 僕が眉をひそめて抗議すると、とたんにプッと悠季が噴いた。

「ムクレている君って本っ当にかわいいね!」

 悠季が笑い転げながら言った。僕は『かわいい』などという、初めて耳にした僕への感想に憤慨するべきか、それとも悠季のあまりに可愛らしい笑いぶりに感心するべきか迷ってしまった。

「そんなに僕のことを笑うのでしたら、キスしてしまいますよ」

 僕が少し低い声で耳元にささやくと、悠季は真っ赤な顔になってあわてて口元を押さえた。

「僕が嫌がる事はしないって約束じゃないか」

「嫌がらなければいいのですね?」
「だめ!絶対にだめ!」

 ほら、こうやって彼とたあいのないじゃれあいをしているだけでも、心が弾んでくる。君の方こそ僕の方を上目使いで睨んでくる顔は、本当にかわいいですよ。

「そ、それより指揮者が夢だったのなら、圭、オーケストラの指揮をやってみないかい?」

「オーケストラの・・・?ああ、今度結成しようとしている、『富士見二丁目交響楽団』ですか」

「そう、アマチュアばかりの楽団だけど、結構集まってきているんだ。声を掛けてみると意外に楽器をやる人が多かったらしくてね。もう二度ほど集まって練習をしているんだけど、ただ、指揮者がいないから、まとまりがつかなくてね。もし君の時間に都合がつくようなら、引き受けてくれないかな?指揮者が夢だったのなら、ある程度指揮の事は勉強していたんだろう?みんなもきっと喜ぶと思うよ」

 悠季がにっこりと笑う。実のところを言えば、僕のところには昨日石田氏から内々に依頼が来ていたのだ。僕としては、実際の経験がまったくなく、独学の自分が指揮をやってもいいのかとためらっていたのだが。

「そうですね。君がそれほど勧めてくださるのなら、今度行ってみましょうか」

「ありがとう!楽しみだよ」

 悠季が実に嬉しそうに笑う。その笑顔のすばらしさに僕は見とれてしまう。この笑顔がずっと僕のそばにあることを心から請い願う。

 こうやって、あれやこれやと僕は機会を見つけては、悠季が僕への好意を増すように、いや僕に恋してくれないかと様々な策を練る。

君はいつも気まずそうにはぐらかしたり、不器用に話題をかえて、僕が諦めるのを待っている。このまま親友として健全な関係のままで過ごしていきたいと思っているらしい。しかし僕が諦めるはずはないのだが。

 君は『最初から僕のからだだけが目当てなのだと思い込んでしまっていた』と言い、『あなたが僕を好きになるなんて思えなかったし、面白がって僕にちょっかいをかけているとしか思えなかった』とも言ってくれた。もしかしたらそれは裏を返せば無意識のうちでは僕に関心を持っていたということなのだろうか?

 僕が、僕がやったことだから、あれほどのショックを受けた・・・?僕が眼鏡を取って、パスワードである言葉を言ったからといって、あれほど寝込むような過激な反応を見せたのは、僕がやったことだから?

 ――もしかしたら、僕は彼の心が振り向いてくれるのを期待してもいいのだろうか?――





















2009.7/18 up