目ざましが鳴って、そろそろ起きる時間。
もう少しだけ寝ていたけど。
でも、そう何度も目ざましをかけなおすわけにもいかないよね。
もうそろそろ本当に起きなくては。
僕は布団から手を伸ばして背伸びをした。
とたんに腰に鈍い痛みが走ってしまって顔をしかめた。
いたたたた・・・・・。
昨日の晩、圭が誘ってきて、濃密な夜を過ごしたそのツケが来ている。
このところ練習に没頭していていることが多くて、毎晩寝るのが遅くなっている。
そんなときに、圭に誘い込まれると拒む事が出来ないんだ。
神経が興奮していて、皮膚までがぴりぴりと過敏に反応してしまうから、圭の触れられただけでその刺激が背筋を通って下半身を重く熱く凝らせてしまう。
耳の裏、指の付け根、ひざの裏・・・・・。
そんな皮膚が薄い場所が圭に触れられたとたんにダイレクトな快感を走らせる。
一気に下半身がぐにゃりと融けてしまうことになる。
めざとい圭が、僕のそんな変化を見逃すはずがない。
だから僕は圭の望むがままに、抱かれてしまう事になる。
毎夜望まれて応えていると、ただでさえ体力のなくなっている僕がへろへろになるのは目に見えているのに、拒む事が出来ないんだ。
困った事に。
でも、そろそろ限界だ。
今夜こそはちゃんと言わなくちゃ。
今夜はもうこのまま寝かせて、と。
「悠季」
甘く耳元にくちづけながら圭がつぶやく。
僕の好きなバリトンが耳殻を伝わり鼓膜を震わす。
ああ、また流されてしまうらしい。
2012.9/23 Reup