の感想文&妄想文
いつものようにザルな感想文です。
何か問題がありましたら、ご指摘ください。←と先に言うヤツ(笑)
今回の新刊、『リサイタリスト』は、前巻が4月発売でしたから、8月発売の今回まで4カ月ですので、今までの発行ペースから考えると早かったですね。
表紙はちょっとファンタジー風味。
途中で、悠季が圭の事を「タイミングの魔術師」と言っていますが、そんなイメージなのでしょうか。
最初私が見た時は、メフィストフェレスにさらわれていくベアトリーチェ←おい!(笑)
もとい!ファウスト。だと思いましたが。
今回の本の副題をつけるとしたら、「悠季の巣立ち」あるいは「圭からの自立」でしょうか。
悠季が一人のプロの音楽家として自立した道を歩み出し始めたという感じですね。
圭との親密なラブラブ生活から、リサイタリストとして圭とは離れて暮らす日々が近づいているということになります。
言わば二人きりの(フジミという仲間はいますけど)狭い世界から、それぞれが音楽家として独立した時間を持つ広い世界へと移行する途中ということでしょうか。
圭としてはコンクールの後、また二人でパリに暮らしたかったようですが、悠季はこのまま講師を続けたいらしいです。あっさりとパリ生活の提案を蹴られてしまいましたね。(笑)
私もてっきり2年間コンサートのために講師を休職すると思っていたんですが、悠季としてはあくまでも二足のわらじをはき続けたいようです。
後日、悠季が日本に帰ってきて引き継ぎと福山教授への報告のために大学へやってきたとき、講師休職中に代理で来られていた遠山先生が悠季の事を睨んでいたようなんですが、もしかしてそのまま講師でいたいと考えていたんじゃないかと思ったりしたんですが、本当のところはどうなんでしょうね?
さて、一夜にして世界、あるいは人生が変わってしまったバイオリニスト、守村悠季。
今回は、前巻の『天上の愛 地上の愛』でのロン・ティボー国際バイオリンコンクールの模様に続いて、ガラ・コンサートについての話が中心で、優勝の夜からガラコンサート当日までがメイン。中身が目いっぱい詰め込まれていました。
優勝の余韻を味わう余裕もないままにガラコンサートの準備へと動き出して、その上落ち着かないうちに雑誌の密着取材まで受けることになってしまった悠季。
いつの間にか圭と宅島くんとで「T&Tカンパニー」という有限会社を立ち上げていたもので、あれよあれよと言う間にこの事務所に入ることになってしまったようです。
宅島社長。これからの御社の発展を祈念致します。―――今は二人しかタレントしかいませんけどね(笑)
事務所初の仕事が密着取材でして、片瀬さんというなかなか頭のよさそうで気丈な感じの記者がやってきたので好感を持って読んでいたのですが、これがとんだ問題女性に変貌してしまって、演奏間近の相手に対して素人ゆえの気配りの無さで悠季を不快にさせてしまったようです。
クマのミーシャ(笑)も困ったカメラマンだったようですし。
もっとも、片瀬さんがぐだぐだに泣きだしてしまったのは、圭の女性に対するきつさもあったためかもしれませんが。
いや、今時のちゃんとした女性記者だったらもっと根性据わっていて、この程度のことでは泣きませんか?(笑)
そんな演奏前のトラブルにもかかわらず、悠季のガラコンサートで演奏してみせたシベリウスは素晴らしいものだったようでよかったです。
なんとなく1・3楽章を演奏したのかと思いこんでいたんですが、優勝者ですからちゃんと全楽章を演奏していたんですね。
都留島さんの感想が1から3に飛んでしまったのでそんなふうに考えてしまったのですが、悠季はちゃんとリハーサルでは1・2・3楽章と弾いていたのですから。
ああ勘違いでした!
全力を尽くした演奏が終わり、ブラヴォー!の歓声だけではなく、「Bis!」の掛け声まで貰ってしまった悠季。
それも「Des le debut!」
30分以上かかるコンチェルト全曲を最初からもう一度って・・・・・なんてしんどそうな。
向こうにはそんな習慣もあるんですね。私はさほどクラシックのコンサートを知らない素人なので初めて知りました。
それも、最初の演奏よりも更に上を求められるとは・・・・・!演奏者は大変ですね。
嬉しいけど、きつい!でも、やり遂げればさらにブラヴォー!!
もう悠季の体力も気力もへろへろで舞台袖に戻ってくることになりました。無理ないことです。それなのに、更にもうひとつアンコールまで貰ってしまってさあ大変!
なんとかようやくアンコールに応えてツィゴイネルワイゼンの演奏を開始。
途中、弱音器(駒の根元につけ.て使う小さな部品)を持って行かなかったために音色に苦労していたようですが、本当に付けて音を出しているのかYoutubeを探しに行ってみると、ちゃんと演奏途中でつけているんですね!こちらも初めて知りました。
もっとも、つけないまま演奏している方も何人もいらっしゃったので、絶対というわけではないようですが。
閑話休題。
残り少ない力を振り絞ってアンコール曲を演奏していた悠季ですが、とうとう途中でダウン。ツィゴイネルワイゼンの曲半ばで演奏が止まってしまうことに。
でもシャントレーくんたち飛び入り助っ人のおかげで賑やかなフィナーレになってよかったです。
今後の悠季の課題はまず第一にスタミナってことらしいですね。
あ、その前に外国語でしょうか?
それにしても、コンサート終わりの花束贈呈の時に圭からの紅い薔薇の花束に隠れてキスするなんて、悠季ったら・・・・・。
ずいぶんと大胆になったものですね。しみじみ・・・・・。
圭がこのときにおめでとうと言わなかったのは言いそびれたのか、言えなかったのかどちらなのでしょう。ちょっとひっかかりました。
悠季はたいした事ではないように考えていたようなんですが、実は圭が口に出来なくなるような内面の葛藤があったのではないかと思えたのでした。
デフォー嬢への嫉妬やら「これで僕一人の悠季ではなくなった」というメランコリックな感慨と寂しさや不安が入り混じって、口が重くなったのではないかと考えたのは・・・・・考えすぎでしょうか?
ガラコンサート終了後のパーティーも終わる頃、圭は日本へ仕事のために先に戻り、悠季は友人たちに囲まれて優勝の喜びを分かち合う時間を過ごすことになりました。
象徴的な一夜だったと悠季も考えたようです。
できるなら圭と二人きりで優勝をかみしめたかったのでしょうが、現実はそれを許さず、時間と距離が二人を引き離すことになります。
しかしそれは今回のみではなく、これから悠季がリサイタリストとして立っていくには何度となく繰り返されることになります。
悠季はそれを実感として感じるまでには至らず、しかし圭はそうなることがよくわかっていて、内心の葛藤や我欲と戦っている最中なのかもしれません。
ガラコンサートの後、すぐ日本に帰国することなく、パリやイタリアでお披露目サロンコンサートにあちこち呼ばれて出向いていた悠季。
いよいよヨーロッパデビューですね。本人はあまり自覚していないようですが。
そんなこんなでようやく日本に帰ってきたのが3週間後。
久しぶりのフジミのメンバーたちからのにぎやかなお出迎えに続いて、いささか不愉快なスキャンダルまでやってきていました。
ちょっとばかり悪辣な内容で、CMで多少顔が売れていたとは言え、有名な芸能人でもないのにこんなふうに最初から悪意を持った内容の記事が出てくるのか疑問ではありましたが。
記事を調査することになった宅島君のお宅にはやっぱりいるんですね。その名も『じいや』(爆)
宅島くんもゼネコンの御曹司ですからね。
伊沢さんと同様、有能な執事さんがおられるのだと思いますが、ぜひ今後出てきて欲しいです。
いずれにせよ、これからは悠季も無名の一般人を名乗ってはいられないと思います。追いかけられる日々・・・・・?
気をつけて下さいね。
日本でのコンサート活動も本格的になるようですし、これからの素晴らしい演奏活動を期待しております。
やはり悠季が音楽家として悩んだり、演奏家として活躍するお話が楽しいですから。
さて、赤ペンチェックなんですが・・・・・。
あまり重箱をつつくのもなーと思いつつ、でも書いちゃう(苦笑)
片瀬さんにフジミのことを紹介しているときに、今年圭が定演でバイオリン・ソロをやったと言っているのですが、今年ソロをつとめたのは由之小路くんのはず・・・・・ですよね? P83
もしかしたら、悠季が日本を出発してから急遽決まって演奏していたとか??でも、本には書いていませんよね。
それからシャントレーくんがママンへの決別宣言をしたときに、ママンは『二度も日本人に負けるなんて』と言ったそうですが、なぜ2度? P125
ガラコンサートの楽屋では悠季が「指輪をしてくるのを忘れたよ」と言ってますが、普段し続けているはずの指輪をいざ本番のときに忘れるんですか?!
あれは大切なお守りだったはずなのに〜!(汗)
他に、昭和の香りがするような表現が幾つか。(笑)
電話番号をダイヤルする、とか。ちゃぶ台返しとか・・・・・。
エンガチョ切ったって分かりますか? あ、千と千尋で出てきていたから分かりますかね?
最後にもうひとつ。
ようやく「つるしま」さんの名前が分かりましたね。
都留島武夫さんですか。
初めての登場時には【都留島】でしたが、『ミューズの寵児』では【都留嶋】となり、ついには『訣別』や『天上の愛地上の愛』の時には【鶴嶋】・・・・・。
いったいどこまで変化するのかと心配だったのですが(笑)ようやく元の場所へと戻ってきたようです。
タケオの方もちょっと疑問。
『ブザンソンにて』の時に、パルニーニさんが都留島さんのことをタケルと呼んでいたんですよね。
パルニーニさんの勘違いなのか、それとも悠季の聞き間違いなのか。まあそのあたりはタケまで合っているからいいか・・・・・。←アバウト(爆)
これは重箱つつきではないのですが、
日本に帰ってきた悠季が圭との会話の中で「パリでの『スリッパ伯爵』の例があったからさ」と言っているのは、どういう意味なんでしょう?
もしかしてオペラか何かの中にあるんでしょうか?それともこれから外伝で出て来るとか?
もうひとつ。
パリでのおよばれの席で学生チャンピオンと『雨の歌』を演奏して、悠季のテンションに追いつけなかったあげく、彼が無礼な捨て台詞を言った話とは何?
どうやら日本訛りのブラームスだとか言ったらしいですが・・・・・?
うう、読んでみたいですよ。そのあたり!
ぜひまた次の巻が早く出て来る事を期待しつつ。
以上、「リサイタリスト」の感想でした!
これは自慢話めいてしまうので、下の方にこっそり入れてしまいますが、実は前巻の『天上の愛地上の愛』が出てすぐのころに感動のあまり秋月先生にファンレターを出しました。
その中でつるしまさんのお名前が『鶴嶋』よりも『都留島』の方が読み慣れていますと書きました。
それが効を奏したのかどうか分かりませんが(←きっと違うでしょうけど)、元通りにしてもらえたのが嬉しかったです。
もうひとつ、都留島さんの視点で悠季の演奏を読んでみたい(正確にはブラームスの感想を! でしたが)と書いたのですが、それがシベリウスで描かれていたのがとても嬉しかったです。
思わず、またファンレター出そうかな?と思ったのでありました!(笑)