おやすみにはもう少し







 圭は嬉しそうに僕の上にのしかかって来た。 

熱い口づけがからだ中に振りまかれ、彼の巧みな手が僕から陶酔の音色をこぼれさせる。

僕の息はあっという間に荒くなり、熱い時間へと攫われていった。

 首筋をたどる彼の熱い舌。僕のからだをたどっていく長くてしなやかな指。僕は彼が奏でる楽器となって、彼が思うような音色を奏でている。

 不意に彼の指が僕の昂ぶりに触れ、きゅっと握り締めた。

「ひっ・・・・・!」

 敏感になりすぎているそこは、乱暴なほどの愛撫にすくんでしまった。

「すみません。強すぎましたね」

 強すぎるっていうより、感じすぎたんだけど・・・・・。

 でも、圭はそのまま手を離してしまって、僕の内腿を撫でることにしたようだ。ゆるゆると撫で回す手はとても気持ちいいものだけど、少し前にされた愛撫に比べたらまだるっこしいものでしかない。

「・・・・・ね、ねぇ・・・・・圭、も、もう・・・・・」

 我慢できなくなってねだってみせた声は、僕自身の耳にも甘ったるくて悩ましくて。

 一瞬ぎこちなく動きを止めた圭は、僕の唇にむさぼりついた。

「そんないい声を聞かせてもらうと、加減がきかなくなりますよ」

「そ、そんなこと・・・・・」

 圭の手は欲しくてたまらないところには触れずに、その下の二つのふくらみを握り締めて揉んでくる。そしてもう一つの手は、まもなく僕に侵入してくる鎌首を入れるために僕のソコをほぐしてくれるはずで、入り口のあたりを味わうかのように撫でている。

 ・・・・・じらさないでっ!

 更にあたたかな感触が僕の昂ぶりを押し包んだ。

「・・・・・ひっ・・・・・!」

 彼の口腔の中にすっぽりと包み込まれてあたたかな舌でなめ回されている!

 僕の下半身からは、ぴちゃぴちゃという水音のような音が聞こえ、それにすすり上げるような音までが混ざって響く。その露骨な音は僕の羞恥心を煽るもので、快感を更に鋭敏にしてしまう。

 圭の巧みな愛撫はあそこやここのそれぞれ違う快感をハーモニーにして、僕を更に燃え上がらせてくれる。

「も、もう・・・・・イきそう・・・・・!」

「まだですよ。もう少し」

「う・・・・・っ」

 ふいごのような荒い息をなんとか彼の指を奥まで誘い込むために整えて、からだの力を抜くように努力した。でも、期待しているからだはあまり言う事を聞いてくれなくて・・・・・!

「君のここはきついですね。締め付けていますよ。・・・・・昨夜もしたのに、待てなくなってしまったのですか?」

「・・・・・言うなって!」

 それは自分でも自覚しているんだ。なんだかさっきの彼の告白で僕の方のタガまで外れてしまった気がする。

 まずいよ、それは!明日も用事があるんだ!起きられなくなってしまう・・・・・。

 でも、僕の中で警告音が鳴っている気がしているのに、遠くて些細なものとしか感じられない。

「圭っ!ね、ねえ、もう・・・・・待てないっ!」

 僕はほとんど上の空で『入れて!早く欲しい』『奥まで!』などと次々に口走っていて、正気が戻ったあとひどく赤面した。でもそのときはもう夢中で・・・・・。

 彼の方でも事情は同じだったらしく、僕の足を肩に担ぎ上げ腰を抱きかかえると、僕のからだを深く折り曲げるようにして入ってきた。

「あ、ああ!・・・・・い、いいよ。圭・・・・・圭っ・・・・・!!」

 熱くて圧迫感の大きい圭の分身が、僕の奥へ奥へと侵入していく!

 僕はのどを鳴らさんばかりにして、彼を受け入れた。

「う、動いて・・・・・っ!もっと僕を溶かしてっ!」

「ええ、僕の悠季」

 圭は僕の望みのままに動き始め、深々と奥まで埋めるといきなりアソコを擦りたてるように動き始めた!

「ひっ!い、いやだ!か、感じすぎる・・・・・っ!け、けい!ああ、ああん、ああんっ〜〜〜っ!」

「悠季!・・・・・愛してます!・・・・・愛してます!!」

 目もくらむような高みにまで押し上げられて、二人で奈落へとダイブする。

 僕はうっとりとなって、からだの力が抜けてしまっているのにもかかわらず、圭のソレは僕の中で大きいままだ。

 僕の息も整わないうちに、圭はまた動き出した。

絶倫の圭には、快感を追求していくためのわずかなインターバルしかいらなかったらしい。でもそれに付き合う僕は・・・・・追いつけない!

「圭・・・・・圭っ・・・・・」

「感じますか?ここがいい?」

「だ、だめっ!も、もう・・・・・!」

 何度も押し上げられた上での快感は、受け止めるにはつらいほどで僕はぽろぽろと泣きながらこの快楽を受け入れた。

「あ、愛してる。僕も・・・・・!」

 僕はため息とともに、彼の耳元へとかすれ声でささやいた。もう叫びすぎてほとんど声が出なくなってた。








 そして、それから数回の失神のあと、僕は今度こそ眠りの底へと堕ちて行ったのだった。

「愛しています。愛しい悠季・・・・・」

 ため息のようにささやく圭の言葉を子守唄がわりにして。