最後まで「楽園を去るもの」にお付き合いいただきまして、ありがとうございます。
どうやらやっと大団円にこぎつけることが出来ました。(笑)

 今回のラストについては、なかなかに苦労しました。ハッピーエンドにする予定ではあったのですが、どこまでで筆を止めようか結末について迷って、何回も試行錯誤していました。
ラストシーンも2度ほど変更になりましたし、そのおかげで文章も長々となっていきました。すみません、いつものクセです。(笑)
お気に召していただけたでしょうか?

 この話を書くに当たって最初の発想のきっかけになったのは、アーシュラ・K・ル・グィンの短編『オメラスから歩み去る人々』でした。

けれど、ここでこの話のあらすじを書いても、「はて、どこが似ている?」と思われるのが間違いなしです。(爆)
どこも似ているところはないと思います。あくまで、発想の出発点なので。
 
 この短編はなかなかに哲学的で、幸福を堪能するには誰かの不幸が不可欠とも取れるし、何かの犠牲の上に自分の幸福が成り立っていると解釈も出来る話です。興味のある方は、「風の十二方位」という本の中に掲載されていますので、ご覧になってください。

 今回、私が触発されたのは、あくまで小説の中の一部分で、【無垢の犠牲者】というところでした。
それに古代のケルトの生贄の儀式が重なって、今回の犠王の話となったわけです。やっぱり無垢と悠季とは相性がいいもので。σ(^◇^;)

 怖くて読み直し出来ないのですが、(長いということもありますが)あちこちボロがあると思います。一番大きなチョンボはガリアをイギリスだと書いてしまったこと。(;^_^A
今回「どうでもいい話」を直しておきましたが、ガリアは現在のフランス辺りのことを指します。イギリスはブリタニアでしたね。

・・・・・ああ、ドジ。

きっと他にもあるに違いありません。←断言してどうする。
他にも地名をわざと本来の場所と違う使い方をして混乱させていますので、それと同類の使い方をしたんだ〜(;^_^A  いうことにしていてくださいませ。←開き直り(笑)



 今回の話を書くにあたって、時代背景の一番の参考資料になったのは、ローズマリ・サトクリフ著の
「ともしびをかかげて」
です。

 指輪物語やナルニア国物語などと並んでも遜色ない物語です。長さじゃなくて、内容が、です。(笑)
英国文学の佳作だと思っています。図書館には必ず置いてある本だと思いますので、もし興味のある方はどうぞ。

 この本を読んだことのある方なら後半の戦闘シーンがまんまパクっていることに気がつかれるかと思います。(笑)
 ええ、パックリと。

 ちょうどこのシーンを書いていた頃、ナルニア国物語が上映中で、中の戦争シーンのやり方が同じなのを見て、感心したことを覚えています。古代・中世の頃のヨーロッパの典型的な戦い方だったのですね。

 ラストシーンを書いていてユーキとケイのモデルとして頭に浮かんでいたのは、アーサー王とマーリンのコンビでした。つまり、王様と魔法使い。(笑)

ついでに言うと、ケイのモデルとしてもう一つ考えたのは、ヴラド・ツェペシュ。ワラキアの串刺し公。つまり吸血鬼ドラキュラのモデルになった人物ですね。敵国トルコにとっては兵士たちを串刺しにして見せしめをするような残虐な王と憎まれていましたが、ワラキアにとってはトルコの侵略から国を守ってくれる救国の英雄だったわけです。その人気を恨まれて、彼の死後隣国の王によって彼の評価を貶められ、ついには小説によって吸血鬼にされてしまった王様です。
でも、こっちだとユーキのモデルがいませんね。σ(^◇^;)

 ・・・・・最後までどうでもいい話で失礼しました。


 とにかく本編を読んでいただいた方に、楽しんでいただければ幸いです。


 ついでに宣伝を。(爆)
 今回、発行J・ガーデンで発行しました外伝、「ピーピング・メァリ嬢のため息」は二人のその後を描いています。

 なぜ本編を本の形で発行せず、外伝だけを本にしたかと言いますと、本編がめちゃくちゃ長くなってしまったからです。校正がとんでもなく面倒くさそうで。(爆)

本編を本にする予定は・・・・・。さて、どうしましょう?




                                                      鈴本ヨシ子 拝
あとがき
2006.10/23 脱稿