キャンディについての不埒な相似






雨が降る。



 僕の上に暖かな雨が。

 それは、僕の髪の上に雫を散らし、僕の額やまつ毛の上をかすめるかのようにして降り続く。

 頬の上に、鼻のてっぺんに。そして、あごからやっと唇に到着した。

「そろそろ起きなさい、悠季」

 僕に雨を降らせていた張本人が耳元でささやく。

 でも、僕はまだ目をつぶったままで彼の声を聞いている。

 ささやきでも深い響きを失わないバリトン。なんて贅沢な目覚まし時計だろう!

「起きないのならこのまま始めてしまいますよ?」

 何を、なんて聞くのは愚の骨頂。圭が今ここでしたいと思うのは、一つしかないはずだ。

 僕のからだにまた暖かな雨が降り出す。耳殻をなぞるように濡らし、首筋を伝って鎖骨へと濡れた感触が降りていく。

 まるで美味しいものでも舐めているように、僕の鎖骨をくすぐっていくと、さらに下へと動き、僕の乳首へと達した。

 そこは昨夜さんざん弄られていて、じんわりと熱を残している。ちょっとした刺激でもくすぶった燠火に火がついてしまう。

「・・・・・んっ・・・・・こらぁ・・・・・昨日の晩だってしただろ・・・・・?」

 僕はせっせと悪戯している圭の頭を離そうと手を突っ張った。ひんやりと湿っている圭の髪。きっとシャワーを浴びたばかりなのだろう。

 しかし、彼の唇や舌は悪戯をやめず、そのまま僕の熱を煽っていく。そこだけの刺激で、僕は下半身に熱がたまっていくのを感じていた。

「君の肌はなんて甘いのでしょうね」

 そう言って、圭はいかにも美味しそうに音を立てて僕をむさぼっている。

「・・・・・ずるい」

「ずるい、ですか?」

 僕のぼやきが思いがけないものだったのか、圭が僕の顔を覗き込んできた。

「僕だって君を味わいたい」

 くすりと圭が笑っているらしい気配。

「でしたら目を開けてください。そのままでは寝言にしか聞えませんよ」 
 
 僕はその言葉にしぶしぶ目を開けた。せっかくの夢心地が少しずつ消えていく気がする。でも、それに代わってセクシャルな感覚が僕の中に満ちていくようだ。

「・・・・・これ、舐めたい」

 僕は彼のバスローブの中に手を入れた。そこもシャワーの湿り気を帯びていてしっとりとしていたけど、彼の昂ぶりはすでに熱くなってきていた。僕はソレを握ってやんわりと扱いてやった。とたんに、うっと息を詰めた様子。

 ちょっと眉をひそめている様子がなんとも色っぽくて、もっとしてあげたくなる。

「いいだろ?」

 僕は起き上がるとベッドに乗りあがっていた彼の股間に顔をうずめて、目の前にある彼の昂ぶりへと顔を寄せた。

 太くて脈打っている幹からくびれまでをぴちゃぴちゃと舐め、更にかさが開いている場所にチュッチュッと吸い付いた。圭の手が僕の髪を乱してくる。

「ゆ、悠季っ!ま、また小悪魔な手管が増えましたね」

 荒く息をしているのが分かって、とても嬉しい。

 鈴口を舌でつついてあげると、僕の髪をぎゅっと掴んで、たまらなく感じていることを教えてくれる。

舌を添えてゆっくりと先を飲み込むようにくわえると、じゅぷじゅぷと扱いてあげた。そして、空いた手は袋からその奥へ。いわゆる蟻の門渡りというところを引っかくようにして刺激すると、きゅっと袋の部分が締まっていく。

「・・・・・ああ、悠季っ!」

いいかい?これがイイ?

 僕はすっかり楽しくなって、更に圭のアナルの近くを引っかくように刺激してみた。

「い、いいです・・・・・っ!ですが」

 あっという間に引き離されると、僕の天地がくるりとひっくり返った。

「このキャンディは僕のものですから、今度は僕に味わわせてください」

「キ、キャンディって・・・・・」

 いくらなんでもその言い方は・・・・・。僕はその言葉に一気に赤面してしまったけれど、圭は構わず僕のその・・・・・僕のキャンディを美味しそうにしゃぶっている。

 僕なんかのつたない愛撫と違って、圭のテクニックはとても巧みで、あっという間にはるか高みへと連れ去られてしまいそうだ。

「で、出ちゃうよ・・・・・!」

 僕は君の中でイキたいんだっ!

 でも、今朝の圭はいじわるで、僕の涙ながらの懇願は聞いてもらえない。

「まだですよ」

 そう言うと、根元をきつく締め付けて空いている手で僕の双球をやんわりと揉みほぐしだした。

「ああ、ここにも甘い飴が入っているようですね」

「そんなこと言うなよっ!」

「いいではありませんか?僕にとっては君のどこもかしこも甘美なお菓子そのものですから、大好物ですよ」

「き、君は甘いものは苦手じゃなかったのかい!?」

「ええ。ですがこれだけは特別ですから」

そんなことをぬけぬけと言ってくれる。そして、今度は口の中で双球を代わる代わるしゃぶってくれて・・・・・!

「そ、そんな・・・・・ああっ!」

「このキャンディは、特に甘い」

僕にとっては彼がキャンディ云々と言っていることを抗議するより、切羽詰った事情の方を優先したいんだ!

「ね、ねえ!・・・・・い、入れてっ!」

 半泣き状態で僕は圭に訴えかけた。これ以上焦らされたら、お・・・・・怒るぞ!

「ええ。そろそろ僕も限界のようです」

 そう言って、熱くてみっしりとした質量の彼のモノが僕の中に押し入ってきた。

「ああ、いいよ、イイっ・・・・・!」

 僕は脳髄までしびれるような快感にのどを鳴らした。

「も、もうだめだ・・・・・!悠季っ!イキますっ!」

 そう言うと、圭はアパッショナートな突きを始めた。それは僕の感じやすい所を容赦なく突きえぐってくれて・・・・・!

「ぼ、僕もっ・・・・・!」

 僕たちは同時に頂点へと駆け上がり、虚空へとダイブし、墜落した。






 ぼうっとさっきまでの余韻に身をゆだねていた僕は、圭の嬉しそうな言葉をぼんやりと聞き流していて、そして内容が頭に入ったとたんに毛布の中へと籠城した。


「やはりホワイトデーはいいですね。とても甘いキャンディを堪能させていただきました」

  


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!




圭のばか〜〜〜っ! 


この先、飴を見るたびに僕は赤面してしまうに決まってるじゃないか!







前回のバレンタインデーの話と対ということになります。
相変わらずのいちゃいちゃ(笑