ピローランプだけの薄暗い寝室のドアが開いて廊下からの明かりが扇状に差し込んで来た
・・・・・みたいだ。たぶんきっと。
僕は目を閉じているから。
「悠季、寝てしまったんですか?」
圭の声がしてけど、僕のからだはとろとろと気持よすぎる眠気の中で返事が出来ない。
先にシャワーを浴びて彼を待っているつもりだったのに、ちょっとの間だけと思いつつベッドに横になったら、そのままヒュプノスに捕まってしまったらしい。
圭ほどじゃないけど、コンサートの集中力が消えた後ってどっと疲れがあふれ出してしまうみたいだ。
今日のコンサートでようやく長かったツアーも一段落。しばらくは富士見町に腰を据えて教師業に精を出すことが出来る。
でもその前に、久しぶりのオフだから我が家にいてくれた圭とゆっくり過ごすことにしたわけなんだ・・・・・けど。
せっかく二人で飲もうと、ベッドサイドにはワインとグラスまで用意しておいたのに、僕は全く動けない。
「眠るならバスローブのままではだめでしょう?髪の毛も濡れていますから風邪をひきますよ」
優しい声が耳元でささやく。
うん、起きるよ。ちゃんとパジャマに着替えてから寝る。
そう言葉にしたいんだけど、僕のからだは言う事を聞いてくれない。
「・・・・・拭いてくれる?」
ふっと笑った気配がして、僕の髪を柔らかなタオルらしい感触がこすっていく。
ごしごしと手荒じゃない、ちょうどいい加減で僕の髪の毛をぬぐってくれた。
「ワインは飲まないんですか?良く冷えていますよ」
「・・・・・飲ませて」
「今日の君はあまえたがりですね」
そうかもしれない。圭の声がとても優しくて、ついついわがままを言いたくなってしまう。
コトンと音がしたかと思うと、寝ているベッドが揺れた。
圭が乗り上がってきて僕の上にかぶさってきたのが目を閉じていても感じられた。
唇が触れて来たかと思うと、口移しでワインが注ぎ込まれた。
「・・・・・んんっ・・・・・」
ひんやりと冷たかったワインは、僕の口の中で香りを放ち、こくりと飲み干すと喉の奥に熱を感じさせて消えていく。
「もっと欲しいですか?」
「・・・・・欲しい」
僕がねだるとまた口移しでワインが注がれた。
けど飲みきれなかったしずくがするりとのどを伝って胸の方へとすべっていった。
「こぼれてしまいましたね」
そう言うと圭は僕ののどをぺろりとなめた。
「・・・・・くすぐったい」
「それは失礼」
のどをならすような含み笑いでキスしてくれた。
そしてワインをもう一回垂らしてきた。
するとワインは鎖骨の方まで流れてしまった。
「今度はわざとやったな」
「この愛らしいワイングラスが気に入りましたのでね」
なんて、嬉しそうな声で言ってくる。
彼の舌がワインを、まるで猫のように綺麗になめとっていく。
「こらぁ・・・・・だめだって・・・・・」
僕の抗議なんて知らんぷりだ。
鎖骨をたどっってくぼみに溜まったワインを舐めらとられていくと、ぞくぞくっと腰の奥が熱くなる。
「どうやらワインが下の方までこぼれてしまいましたね」
そう言うと僕のバスローブの紐をするりと解いた。
「クリスマスプレゼントのリボンをほどくときのときめきは、中身を見た時の喜びを増やしてくれるものですね」
なんて、妙な事を言いながらバスローブを開いていく。
こうなってくると気恥ずかしくなってしまって、目が開けられなくなってしまうじゃないか。
「ああ、眠ったままでいらっしゃい。僕はこの眠り姫をたんのうしますから」
・・・・・う、見透かされてるなァ。
圭の視線が僕の肌を舐めていく。
もういいかげん慣れていることであるはずなのに、こんなふうに目を閉じて圭に見られていると思うと・・・・・ドキドキしてしまう。
うやうやしい手つきが、僕のからだをくまなく全てに触れていく。
もうどこも圭に触れられていない場所なんてないのに、まるで初めてのように感じてしまう。
そして唇がそれに続いてたどる。
更に舌でなぶられていき、僕のからだは抑えようがない熱がこもってしまって身もだえてしまう。
「けい、圭、もう・・・・・きて!」
「ええ、喜んで」
両手を広げ、圭を抱きしめて受け入れる。
彼の昂ぶりが一気に奥まですべり込んで甘くうめいた。
僕の中には圭がいっぱいに満たされていて、脈打つたびに快楽の水位が上がる。
でも足りない。これじゃ足りない!
「圭、う、動いて・・・・・!」
「いきます!」
「あ・・・・・あああっ!!」
圭は僕の足をかかえると、激しく動き出した。
目の前に真っ白な光がスパークして、僕は声にならない絶叫をあげた。
頭の先からつま先まで激しく鼓動が満ちていくと、やがてすとんと奈落へと落ちていった。
「悠季、悠季、大丈夫ですか?」
ゆっくりと目を覚ますと、僕の口の中には今度はブランデーが口移しされていた。
僕のおぼつかない視力でも、圭が心配そうな顔をしているのはよくわかる。
「圭」
手を差しのばすとほっとしたようにからだを寄せてきた。
「僕のリボンを解くのは楽しかった?」
「ええ、とても楽しかったですよ」
「じゃあ今度は中身も愉しんで」
圭は目を見張ったかと思うと、きゅっと両方の口角が上がり目尻が垂れ下がったようで、実ににやけきった顔になっていた。
こんなスケベ顔を見られるのも僕だけだろうなァ。
「喜んで愉しませていただきますよ」
そう言うと襲いかかってきて・・・・・。
翌朝、僕は余計なひと言をとても後悔する事になってしまったんだった。
あーあ、またやっちゃったよ・・・・・。
肌色音色のがっちゃんに
「お宅の息子さんを私に下さい!」(爆)
とお願いして、強引に頂いてきたイラストです。
快く承知して下さいまして、
「不肖の息子ですが、どうぞ可愛がってやってください(笑)」
というお返事をいただきました!σ(^◇^;)
不肖なんてとんでもない!素敵な息子さんです。どうもありがとうございます!
それにしても、たっぷりワインが溜まりそうな鎖骨のくぼみ・・・・・。
絶対に私には無理ですね。(泣)
タイトルの「Bedside talk」ですが、本来の意味とはちょっと違うニュアンスのようなんですが
、pillow talkは使っちゃってるので、同じような意味だと開き直って使っています。(苦笑)
クリスマスの話にするつもりだったのですが、本編の方で熱々なクリスマスデートが出てきたので、
ほんの少しだけクリスマスの香りがする話にしてみました。
素敵なイラストが並んでいる「肌色音色」様はこちら→肌色音色
2011.12/15 up